兎を見て冬吾を放つ

「すぐにあんたの隣で、あんたが頼れる大人になるから。俺を頼って」

傷害事件を起こし少年院に行った十九歳の冬吾は、出院後、建築板金工見習いとしてひとりで暮らしていた。
親との関係も薄く、自分の起こした事件で恋人との縁も切れてしまった冬吾の孤独な生活に、ふと入り込んできた謎の男、斎藤。
雨の日には傘を差しかけてくれ、夏祭りに行きたいと言えば連れていってくれる斎藤に、冬吾は想いを寄せていく。

ところが斎藤の正体は才木という名前の探偵で、彼はある目的を持って冬吾に近づいていた。
冬吾に懐かれ、見捨てられない才木。そんな才木に愛されることを望む冬吾。
才木の援助で通信制の大学へ行き、探偵業を手伝い、様々な新しい経験をしていく中で、冬吾は自らの罪と向き合えるようになっていく。
一方の才木は背負う過去から逃れられず、冬吾を受け入れることができずにいて……。

傷を抱えるふたりがお互いに出会って、新しい人生を歩き出すまでの、社会派ヒューマン・ボーイズラブストーリー。

(約11万字)

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冒頭試し読み #1 冬吾一代に狸一匹1 | 兎を見て冬吾を放つ 本編 - 楢川えりかの小説シリーズ - pixiv

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