昔のBL雑誌JUNEに掲載された、作家と投稿者の熱い記録 - 中島梓「小説道場」のススメ

こんにちは。
今まで自分の小説を紹介してきましたが、おすすめ小説や、小説ハウツー本などの紹介もしていきたいと思います。
記念すべき第一弾は中島梓先生の「小説道場」です。

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「小説道場」とは?

1990年代、男同士の恋愛を扱った雑誌「JUNE」(ジュネと読みます)に10年以上連載されていた投稿小説のコーナーをまとめた本です。
グインサーガなどで有名な栗本薫先生が、中島梓名義で道場主となり、読者から投稿された小説を講評しながら、初段、1級、2級などと段位を認定していきます。

この本のオススメポイントは以下の3つです。

  1. 今でも活躍している作家さんの、デビュー当時の様子が興味深い
  2. 門弟への先生の関わりが熱い
  3. BLの歴史を知る一環として興味深い

今でも活躍している作家さんの、デビュー当時の様子が興味深い

この本の面白いところとして、現在も活躍されている作家さんの、投稿者(門弟と呼ばれます)時代の様子がわかることが挙げられます。
たとえば、「富士見二丁目交響楽団」シリーズの、秋月こお先生。
最初、違うペンネームで投稿されているのですが、途中でペンネームを変更され、秋月先生となります。そうして、投稿していらっしゃったのが、BLのご長寿シリーズ、富士見二丁目交響楽団シリーズ。
こちらで評価の高かった方の本は、現在も出版されている作品もあり、プロの作家の誕生シーンを臨場感をもって知ることができます。
現在出版されている本を読みながら、講評を読んでみるのも面白いです。

また、柏枝真郷先生も「デスペラード」シリーズを投稿されています。
最初作品は低評価で始まるのですが、回が進むにつれて、ぐんぐん評価が上がっていきます。
中島先生は小説の中に現れるご本人を見られていて、第41回に、柏枝真郷先生に次のようにアドバイスを向けています。

いまの君に一番必要なのは愛されていることを信じることだな

中島梓『新版・小説道場 3』株式会社天狼プロダクション

小説を書くことによって、門弟たちが成長していく姿が映し出され、ヒューマンドラマを見ているような感動を感じました。

門弟への先生の関わりが熱い

このような先生の講評からもわかるように、中島先生はとても真摯に門弟に向き合います。
小説道場にはさまざまな変わった人が投稿してきます。
鉛筆書きの原稿とか、涅槃で待つと手紙に書いてくるとか、全然男同士の恋愛小説でない作品をおじいちゃんが投稿してくるとか。
でも中島先生は困った人でも、必要であれば個人指導を買って出たりします。
「小説」や「小説を書いている人」に深い愛情を持って接しているのです。
道場を開始されたころ、中島先生は30代後半。
その年齢でご自身の道は小説を書くことと定め、後輩を育てていらっしゃるのが素晴らしく、熱い想いに打たれます。

BLの歴史を知る一環として興味深い

BLの起源には諸説あります。
1978年から発刊されていたこの「小説道場」を連載していた雑誌、JUNEは間違いなくそのひとつです。
JUNE系、という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。
同人誌即売会でも男同士の同性愛を扱うジャンルは「JUNE」と呼ばれ、今でも行われているBL系の同人誌即売会「Jガーデン」はそのJUNEジャンルのみの即売会ということで名づけらています。
この本の中では、中島先生のJUNE論が語られ、この本を読むと、当時のJUNEとはどういうものかがある程度わかるようになります。

ただあくまでも、JUNEを書かなくては生きていけない人というのがいるのであり、それは結局(結婚していようといまいと)『いつになっても王子様は現れないことを知った』人だと私は思うのである。

中島梓『新版・小説道場 3』株式会社天狼プロダクション

まとめ

「小説道場」は、昔のBL雑誌の投稿小説をまとめた本です。
今でも活躍されている作家さんの、デビュー当時を知る方法としても興味深いですし、中島先生と門弟たちの熱い関わりを読むのも面白いです。
また、今につながるBLの歴史を見ることもできます。
昔のお話というだけではなく、小説を書くということに対する普遍的なことというのは、共通しています。
特にBL小説は愛の話であって、私たち自身の愛に対する姿勢を問われる側面があります。
そんなところまで踏み込んだ創作論は、現代の私たちが読んでも十分に楽しめます。
小説を書く人にとっては、いつの時代でも色褪せない一冊なのではないでしょうか。

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参考:J.GARDEN (jgarden.jp)

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