小説家三人プロット交換企画!
BL小説家三人がそれぞれ「キャラクターと設定」「プロット」「執筆」を担当してリレーしたら、どんな作品が出来上がるのか?イラストレーターの下描き交換みたいな企画を字書きもやってみたい!
という羽生橋はせをさん主催の企画に参加させていただきました。以下のようにご紹介していきます!
参加作家紹介
兎騎かなでさん
既刊小説『4人のイケメンに求愛されて俺は涙目です」』
アルファポリスBL小説奨励賞、Blove小説新人賞を受賞。
2024年2月『超好みな奴隷を買ったがこんな過保護とは聞いていない』アンダルシュノベルスより出版予定。
羽生橋はせをさん
第19回小説ショコラ新人賞にて佳作受賞。デビュー作の準備中。
楢川えりか
チャイハネ30周年記念応募紀行文佳作入選(別名義)。
BookBaseBR(ボーイズロマンス)小説コンテスト優秀賞受賞。2024年、株式会社BookBaseより電子書籍として出版予定。
完成作品紹介
まずはネタバレ防止のため、完成作品を紹介いたします。
「どうあがいても溶けていく」
https://estar.jp/novels/26198153
執筆担当:兎騎さん
アツユキは出勤中、高校時代の彼氏ロウと再会する。
アツユキはアイスで、ロウはジュース。二人は惹かれあっていたが、アツユキを溶かす前にお別れした。
しかしお互いの瞳の奥に灯る熱は、あの頃と変わらず燃えたぎっていて……
キャラ担当コメント(羽生橋さん)
キスによってお互いの第二性が判明した後の展開を、お二人に委ねました。夏のうだるような暑さと、二人のラストの表情が浮かんでくるようで本当に素敵でした!
プロット担当コメント(楢川)
羽生橋さんのキャラ設定で初めて知ったアイスバース。なんて刹那的な関係!と思って作ったプロットを、兎騎さんがさらに切なく刹那的に、そして色っぽく運命的に書いてくださいました!
つらい…
でもきっとこういう愛もあるんでしょう。
「男子三日会わざれば」
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21508768
執筆担当:羽生橋さん
「十年後、同じ気持ちだったらもう一度教えて」。
初めての告白は、そうやってはぐらかされた。明日で二十歳になる健人は、男やもめの耕平に十年越しの片思いをしている。十年前の約束を果たそうと、耕平を思い出の場所に誘うが、空回りし続けて――。
キャラ担当コメント(楢川)
年齢差、大切な人を失った長い憧れの人、と好きな要素を全部詰め込んだキャラなのですが、羽生橋さんと兎騎さんのおかげでとてもキュートなお話になりました!大人に思われたくてめげずに頑張る健人が可愛くてニヤニヤしっぱなしです!
プロット担当コメント(兎騎さん)
プロット書いたら思いのほか可愛いお話になり、普段のはせをさんの作風と違いそうとドキドキしてたらですね……
ギャグと可愛さときゅんが融合した、素敵作品に仕上がっていました!
主人公の空回りっぷりと、攻めの反応のかけあいが読んでいて楽しい作品です♡
「俺とあいつと卵と世界」
https://estar.jp/novels/26198221
執筆担当楢川
大学生の守斗は、相手に合わせすぎてしまって彼女と続かない。ある日彼は同じ講義で、暇さえあれば本を読んでいる弓弦と出会う。
弓弦は他人の気持ちがわからず、他の人の考えていることを知りたいから本を読むと言う。自分と正反対の彼に惹かれていく守斗だが──
キャラ担当コメント(兎騎さん)
なんかふんわりなキャラ作ってしまったのに、テーマがしっかりしててすごく読み応えがある……! すごい!(語彙力よ来い)
どことなくキャラから漂うふんわり感がのこっているのに、ちゃんと「生きている人間らしさ」も感じられて、よきよきでした♡
プロット担当コメント(羽生橋さん)
兎騎さんの攻めはマメなんだけど報われないキャラ。もどかしさややるせなさに重点をおいてみました。楢川さんの筆致によってそれがさらに鮮やかになり、感動しました!
キャラクター設定
担当はくじで決定しました。キャラ設定とプロットにはお話のネタバレがあるので注意してください。交換したキャラ設定はこんな感じです。
「どうあがいても溶けていく」
アイスバース
アイスバースとは、ジュースと結ばれると溶けてしまうアイスと、アイスを溶かしてしまうジュースという二つの種族の特殊設定のことを指す。
恋が叶うと同時に命を落としてしまう姿を氷がジュースの中で溶けていく様子に例えこの名がついた。
オメガバースの派生であるケーキバースからの派生
ジュース×アイス
ジュースの体液でアイスが溶けちゃう
けどセックスさえしなければ死なない。
普通の怪我が治るのと同程度の期間が過ぎればアイスの体は元に戻る
普通はジュースとアイスが結ばれるとアイスが死ぬけど、
・アイスくんは人より体温が低い
・アイスくんになぜか惹かれてしまう
・アイスくんと自分の体液が接触した時にアイスくんの体の一部が溶ける
ことでお互いがジュースとアイスであると確信
それ以来、お互い惹かれあっているが積極的に触れ合えずにいる
アイスバース自体が闇BL向きの設定ではありますが、お話がどうなるかはプロット担当の方に任せます
ジュースくん
名前
比果露生(ヒガ・ロウ)
アイスと惹かれ合う特殊体質:ジュース
陰キャのパリピ。人といる時は明るく振る舞うけど、本当は一人でいる時間が好き
離婚寸前の両親の仲をとり持つためにわざと楽しいふりをしたり道化を演じていた過去あり
それ以来、無理してでも自分が盛り上げなきゃいけないと思っている節がある。
しかし、アツユキの前では無理に明るくしなくてよいのでアツユキに懐いている
スキンシップ大好き。
だけどお互いが特殊体質アイス/ジュースであると判明してからというもの、大好きなスキンシップを控える。
外見:身長175cm前後、体重70kg弱
見た目はパリピ、服装も髪色も派手め
暑さ対策グッズを常に持っている
アイスくん
名前
碓氷篤雪(ウスイ・アツユキ)
ジュースと惹かれ合う特殊体質:アイス
体温が人より低い(34℃)、末梢温度も常に30℃弱くらいだけど至って健康
暑いところは苦手だけど溶けはしない
あくまでジュースの体液が触れた時に溶ける
寡黙で表情があまり変わらない、発言も一見突き放したように感じるけど優しい
暑いのが極度に苦手で、パリピの奴らに「盛り下げるなよ」と文句を言われたがロウが助けてくれたエピソードあり、そこからロウが気になる存在に。
両親が離婚して高校の文化祭の打ち上げどころじゃなくなり、行きたくないロウのつらみを肯定して一緒にさぼったエピソードあり。
そこからロウに懐かれ、何かとつるむように。
特殊体質ジュースとも知らず、ロウに惹かれる。
しかし、ロウの体液が触れた時に自分の体の一部が溶けたことから、お互いの特殊体質が判明
ロウがアツユキを気遣うあまり、接触を恐れるようになってしまって寂しい
外見:身長180cm前後、体重74kg弱
地味な服装、黒髪、色白
暑さ対策グッズを常に持っている
「男子三日会わざれば」
耕平さんの息子ルートもありなのでは…と思いつつ書きました。もしプロット担当の方がそちらがよかったら、その展開もありです!
(攻)小倉健人(おぐらたけと)19歳
耕平の息子の同級生。
母親はシングルマザーで忙しく、仕事の時は近所の耕平の家によく預けられていた。
耕平に子供のように可愛がってもらっており、耕平が初恋の人。それからずっと片思いしており、日々アピールしている。
体形:身長168センチ、細身。昔から平均より身長低めで小柄。いつか身長は耕平を抜くと信じていたが、結局抜けていない。(耕平の息子は背が高い)
性格:前向きで明るく元気。小型犬の雰囲気。母親に迷惑をかけたくないという気持ちが強く頑張りや。
(受)清水耕平(しみずこうへい)/アレックス・ドイター 40歳
大学生の子持ち、学生結婚した妻は息子の出産時に死別している。
フリーランスの冒険ライターであり突然秘境に旅立って帰ってこない。(ナショナルジ○グラフィックとかの記事を書いてる)その間息子は近所の妻の実家に預けている。
外見:実は父親はアメリカ人で長身(アレックスはアメリカ人名)。190cmくらい。顔立ちも彫りが深く日本人離れしている。濃茶色の長髪癖毛をひとつにまとめている。体格はがっしりめ。
性格:のんびりおだやか。動植物、読書好き。息子大好き。静かにずっと妻の死を想っている。
「俺とあいつと卵と世界」
女子にモテるマメ男×究極のめんどくさがり
受け
秋田 弓弦 21歳 文学部
見た目
黒髪ストレート、中肉中背(169cm)猫背気味、顔のよさは中の上、磨けば光る素材 でもモサっとしている、服に興味がない
性格
めんどくさがり ポジティブ 流され体質 恋とか別に興味ない マイペース 都合が悪いことは見ないふりをしがち
考え、エピソード
できることなら、ずっと本を読んで過ごしたい。
一日中家に引きこもりたい。
好きな人ができたって、自分からはアプローチしない。
なぜなら、面倒だから。
しかし、一度自分の日常生活に組み込まれた好きなことには、とことんのめり込む性格でもある。
活字中毒。
恋愛は自分とは無縁と思っている。
親いわく「アンタは物心ついた頃からすでに面倒くさがりだった」
姉が一人いて弟に優しい世話焼きキャラなので、ますます面倒くさがりに拍車がかかっている。
ずっと本を読んでいたいのに、学業(バイトでも可)に従事しなきゃならなくて気持ちが萎えてる。
将来はそれなりに不安、でもだからといってあくせく動きたくない。
意外にも要領は悪くない。どうしてもやらなければいけないことは、最短で効率の高い方法で物事をこなす。
攻め
豆塚 守斗 21歳 経済学部
見た目
茶色く染めたウェーブ髪 おしゃれ 178cm 細マッチョ 柔和な面立ちの美男
性格
優しい 人におもねる 心配性 マメ 愛した人に愛されたい 基本姿勢が八方美人
考え、エピソード
マメだから女子にモテる。
しかしそのマメさは不安からくるもの。
つきあった女子には、ご機嫌とりの保身だと見破られて振られる。
つまり、本心から好きでつきあっていない、相手にあわせているだけ。
どんな状況でも動じない人に憧れている。
好きな人や友達になりたいと思った人を、よく観察して仲良くなるのは得意。ただし表面上のつきあいになりがち。
親はあまり守斗に興味がなく、仕事や自身の用事で家に帰ってこなかった。
無意識にいい子でいようとする。
誰かを愛したいし、愛されたい。猛烈に恋人を求めているのに、上手くいかなくて困っている。
趣味が多いように見えて無趣味。その時好きな友達や恋人の趣味に染まるタイプ。
根が心配性なので、将来設計とかキチッと立ててる。
プロット
「どうあがいても溶けていく」
起:ある夏の日。暑いのが苦手な28歳のアツユキは、瀕死になりながら出勤している。その道すがら、アツユキ(アイス)は高校時代の同級生ロウ(ジュース)に偶然再会する。2人は高校時代に付き合っていたが、ある決断をし、別れて以来だった。
承:高校時代のアツユキの回想。
高校時代、友人同士で海に行ったとき。暑さにバテていたアツユキがパリピの友人らに「盛り下げるなよ」と言われたとき、ロウが話しかけて助けてくれた。
それから急速に距離を縮めていくふたり。ロウは離婚しそうな両親の不仲で悩んでいた。文化祭の日、学校に行きたくないロウに付き合って、アツユキは文化祭をサボり、カラオケで二人で過ごす。カラオケで自分のことばかり優先する両親に対する失望を話すロウに「本当に好きだったら、自分のことを犠牲にできるのが愛ではないか。ロウが両親を受け入れられなくても仕方ない」という話をするアツユキ。ロウは慰められ、2人は付き合うことになる。
クリスマスの日、2人はデートをして、最後にキスをする。声を上げてしまうアツユキ。ロウはアツユキをとっさに抱える。アツユキの唇は溶けていた。
転:(引き続き回想)アツユキとロウは自分のバース性を知った。最初は距離をとって清いお付き合いをする約束をするが、やがて気持ちが高まりディープキスや兜合わせなど、身体的な接触が止められなくなり、アツユキが溶けてはそれをごまかすという日々が続き、ついにアツユキは病院に入院した。溶ける頻度が多くなりすぎたせいだった。2人の関係は明らかになり、家族に反対される。
親の目を盗みロウは病院に見舞いにいくが、病室に入る気になれず窓からそっとアツユキを見つめる。アツユキは窓の向こうから見ているロウに気づく。
2人はバース性について話し、お互いのために完全に別れることを決め、最後に窓越しのキスをして別れる。
結:それから10年。(起の時間軸に戻る)
偶然再会してしまい、見つめ合うロウとアツユキ。お互いに、この10年一度もお互いのことを忘れた日はなかったということがわかる。2人とも「もう後戻りできない」その確信を抱えながら、暑い中ひたすら向き合うのだった。
「男子三日会わざれば」
前提状況
小倉健人は現在19歳であり、明日で20歳になる。
10歳頃に「耕平と結婚したい!」と告白したら「健人がハタチになった時にまだ好きだったら、もう一度教えて」と返事をもらったため、明日もう一度告白する予定だ。
耕平の息子である孝文(たかふみ)は、健人が本気で耕平を好きだと知っている。
孝文は健人の男の趣味は悪いなあと、若干引きながらも健人の健闘を見守っている。
プロット(健人視点)
旅に出ていた耕平が日本に帰ってくるため、健人と孝文は車を運転して、空港まで耕平を迎えにいった。
10年前から変わらない耕平への愛を語る健人に、孝文は耳にタコができそうだと呆れている。
空港で合流する三人。
久しぶりに会っても変わらず、おっとりと旅行中に撮った動物について語る耕平に、思いを募らせる健人。
明日が誕生日だと告げ、一緒に遊びにいこうと誘い了承をもらう。
誕生日当日、植物園にでかける二人。最近あった出来事を語る健人だが、耕平の反応がまるきり子どもに対する様子で不満に思う。
今日はデートのつもりだからとリードするが、扉を開けたり背中に手を当てたりすると「まだそんな年じゃないよ」と言われるし、奢ろうとすると「そんなことを考えるなんて大人になったね」と感心されるばかりで、ときめいてもらえない。
蘭の花に目を留めて「恵美子が好きだった花だ」と妻のことを語る耕平に我慢ができなくなり「俺のことも意識してよ!」と、想いの丈をぶつける。
困惑する耕平に10年前の約束を告げると、思い出したようで「君の本気はわかった、けれど君に僕みたいなおじさんはもったいない」と断られる。
そんな理由では納得できないと食い下がり、もう一度だけデートしてもらえることになった。
デート当日、勢い余って朝から耕平の家に押しかける健人。
孝文が家にあげてくれて、部屋に入り耕平の寝顔を見つめていると我慢できなくなり、キスをしてしまう。
耕平はすぐに起きたが、気づかれていないようだ(と健人は思っている)
孝文に冷やかされながら三人一緒に朝ご飯を食べて、デートに向かった。
デート先はあえて、昔連れていってもらった遊園地にした。
当時との違いを感じてもらい、子供じゃないことをアピールする作戦だ。
なぜかお化け屋敷を巧みに避ける耕平に気づき、お化けが苦手ならいいところを見せられるかも! と半ば無理矢理連れていく。
実際連れていっても彼は平気そうで「小さい頃の君が苦手だったから」と言う。
「もうお化けを怖がる子どもじゃない」と詰め寄ると、狼狽される。
「だから困るんだ」と聞こえた気がした。
その後はどこに連れていっても反応が鈍く、やっぱりダメなのかなと思いはじめる健人。
最後にと、観覧車に一緒に乗る。
一番てっぺんで改めて好きだと告白すると、顔を赤らめる耕平。
「本当に本気なのか」「こんなおじさんじゃなくて健人にはもっといい人がいる」と口では言うが、態度は満更じゃなさそうな耕平に、押して押して押しまくる健人。
「私は君が思っているほど大人じゃないし」「仕事で寂しい思いをさせるよ」と重ねられる言い訳を、一つ一つ逃げ道がないように潰していく。
「大丈夫です。そんな耕平さんが丸ごと好きなんです……だからつきあってください」
もうそろそろ観覧車から降りなきゃいけないけれど、耕平からは返事がない。
落ち込みながら立ちあがろうとすると、裾を引かれる。
「……後悔、するよ」
「しません、絶対に」
観覧車を降りた後、耕平から手を繋がれた。
孝文には遅くなるって伝えておきますね、と告げると、真っ赤になりながら繋がれた手に力を込められた。
「俺とあいつと卵と世界」
攻め視点
1
「別れて。豆塚くんって、優しいけどそれだけだよね……」
(電話でもテキストメッセージでも)
講義開始前の大学の講堂で。
講義中もずっとフラれたショックをひきずる。
うまくいってると思ってたのにあっけなく振られてしまう攻め。
がっかりするけど、心のどこかで「ああやっぱり」と思ってしまう。
紳士的だし、細やかな気遣いもしてるし、相手の好みに合わせているから女の子にはモテるけど、結局飽きられてフラれるのが常だった。
自分がないと言われるけど、自分を出すと「そんな人だと思わなかった」って言われる
理不尽だ…
こんなはずじゃなかったのに。今度こそはうまくいくと思ってたのに。
攻めは両親の不仲から、「将来は和やかで仲のいい家庭を作るんだ。それには学生時代からの恋愛結婚がマスト」だと思っていて、そのために付き合う女の子にはマメに連絡するし趣味も合わせる。
女の子が好きというより将来への不安や小心者な性分のせいでそうしている。
和やかな家庭を見据えての行動であって、その女の子が本当に好きなわけじゃない。
薄々気づいてるけど、それをやめられない。
顔はいいしオシャレだし優しいのでモテ続けるので女の子は途切れないが、今回はいい感じだっただけに落ち込む
そんななか、講義が終わっても動かない男が一人。後ろ姿
黒髪ストレートで、清潔ではあるもののもさっとした印象。
男は分厚い本を読み続けている。
読み終えたと思ったら次の本を読み出す。
薄い文庫本。
本のおかわり、いやデザート?
「ここ次の時間は締めるらしいから、外で読んだら?」と声をかけると、ぽやぽやした返答と「ありがとう」と言われる
薄い文庫本を読みながら歩く男。
危なっかしくて見てられない攻め。
階段にさしかかると案の定足を踏み外し、それを体を張って助けてあげる。
「危ないだろ、読みながら階段歩くなんて!」
と叱ると
「あ、ありがとう…すみません」と心からの礼を言われ、フラれてやさぐれていた攻めの内心にはパアァ…と光がさしたようになる。
元カノのありがとうは、最後の方はもう義務とか社交辞令みたいになってた
※ここで豆塚が男に名前を聞き、男の名前が判明。お互いの名前を知る
危なっかしくて見てられない
&お礼が心地よいので、攻めは男と仲良くなり世話を焼くことを決める
2
それから攻めは、男改め受けとベッタリになる。
受けは食堂で食事中もずっと本を読んでる。
というかご飯を頼んでなくてパックジュースとかだけ
最近、貧血で倒れて攻めに介抱されたばかりなのに…と自分の食べている弁当をわけてあげる。
というかわけてあげる前提で多めに作ってきた
女の子たちからは「お腹が減って倒れても受けの自業自得なんだから放っておけば?」と言われるが
「こいつ俺がいないとそのうち死んじゃいそうだから」
と言って世話を焼き続ける。
なぜなら受けは読書が好きで「食事代を本を買うお金に使っちゃう」ほど。
「バイト増やしたら…?」
「めんどくさくて…」→バイト増やすくらいなら食費を切り詰めようとなったらしい
「そんなんじゃ将来就職した時どうするんだ」
「そうだよねえ…でもあんまり頑張りたくない…」
「本が読めなくなってもいいのか?」
「それは困る」
最初は、あまりの考えの違いにくらっとしたもんだが、こいつが泣いて懇願するなら自分が養ってあげてもいいかもしれないと思っている攻め。
「図書館で働こうかな〜」
「司書になっても本をずっと読んでいられるわけじゃないぞ」
「そっか〜」
「俺の家、蔵書はお前に負けてないと思うけど?」
「じゃあ攻めくんの家に就職しようかな!?」
「気が早いよ、ルームシェアとかそういう手段もあるぞって意味だ」
だが内心悪くないと思う攻め。
こういうところが好ましくて友達をやめる気にはならない。読書が好きで集中してる横顔が好き。
それに世話を焼くと本気で感謝してくれるので病みつきになる
弁当を作ってやったりガス止まったら家に止めてあげたり
ここまでやる必要ないんじゃないかと思うけどつい世話を焼き続ける
3
しかし、ある日受けが別の友人と話してるのを見つける
「あれ?お前がちゃんと勉強してるの珍しいな…」
「もう提出する分は終わっちゃったから、教授が次にやる範囲のところ予想してやってるだけ〜」
「お前、昔からそういうところだけ要領いいよな…」
受けは何にもできないわけじゃなかった
やる気がないだけでできる人だったのだ
そういえば受けは今まで一度もレポートや試験は毎回評価高いし落としたこともない。
そういう一面を初めて知ってショックだった
自分はいいように利用されていただけだった
その後、受けを避ける攻め
「どうして避けるの? 俺なんか気に障ることした? 謝るから教えて…」
「お前、本当はできるんだろ。オレを利用してただけなんだろ? これからはオレを頼らず一人でやれよ。オレにだって自分の将来設計があるんだからな」
受けの言い分も聞かず、受けを突き放して去る攻め。
家に帰ると酒を飲んでから前ドタキャンした女の子に遊ぼうと連絡するがフラれる
本当は、将来設計とかどうでもよかったのかもしれない。
お互い相手を必要とし、慈しむ関係になりたかったんだ…相手に尽くせばそれが手に入ると思っていた
受けと一緒にいる時が一番心地よかった。もはや関係修復は望むべくもないが…
もうどうでもいい、と風呂の中で酒を飲んでぐでぐでになっているといつの間にか寝てしまう
→溺れる
4
誰かが溺れた攻めを助けてくれた
受けだった。
気づくと部屋の中は綺麗になってて、攻めは髪を乾かしてもらったり世話されている
「え、なんで…」
「あ、冷蔵庫の中にあったやつ勝手に使っちゃった。ごめんね」
「いやそうじゃなくて、なんでここに」
「攻めくんは落ち込むとやけ酒しながら風呂入るくせがあるから、そうじゃないかなと思ったんだ」
面倒くさがりだけど要領いい受け
「俺って面倒くさがりだけど、好きな人のためだったら面倒くさいことなんてないみたい」
知らんタイトルのレポートとか資料を渡される
こないだ予習してたのは、攻めのためだったらしい。
というか「好きな人」って誰?
「攻めくんだよ」
最初は面倒くさがりな自分の世話を焼いてくれるのが嬉しかったけど、攻めが本当は寂しがり屋で気が小さいところがあると知り、
世話焼き=寂しいからそばにいてほしい
だと解釈
可愛くて一緒にいたいと思った らしい
「だから、世話を焼くなら俺だけにしてよ」
END
参加した感想
兎騎さん
普段書かない、思いつかないような設定やお話を書けて、大変楽しかったです!
たまにやると作家としての幅が広がると思います。難しいけどやりがいがあるので、みなさまぜひやってみてください(^^)
私もまたやりたいなー(´ω`)
羽生橋さん
おそらく人によってはもっと細分化した工程があると思われるお話作り。今回はざっくりと三つの工程にわけましたが、とくにプロットが難しかったです!
勉強になることばかりでした。
ご自身の作品作りもあるなか、参加してくださった兎騎かなでさん、楢川えりかさん、本当にありがとうございました!
楢川
普段の自分のキャラだったらしなさそうな行動や発言を、自分のものに落とし込んで執筆するのに苦労しました。落とし込めてからは楽しかったです!
兎騎さん、羽生橋さんのファンの方にがっかりされていないといいのですが…
初めてバースものにもチャレンジできて、いい経験になりました!